fender jazzmaster のリペアです。
この個体も製造されましてから相当な年月を経過している模様です。
ブリッジの不具合から長年放置されてきたとの事でマスタリーブリッジの発売をきっかけにプレイヤーズコンディションの回復が目的です。
確かにこのブリッジでは駄目ですね。
何でこんな造りになっているのか分かりませんが、このブリッジでお悩みのオーナー様も少なくはないと思われます。
先ずはオーナー様の一番のご依頼のブリッジ問題です。
お安く仕上げるために既存ブリッジの加工をお勧めしましたが・・・却下!
マスタリーブリッジがオーナー様より送られてきました。
缶入りなのですね・・・・。
早速蓋を開けますと・・・
その姿を現しました。
藁の上に卵からかえった雛のように初々しい姿を見せました。
下が52年前に製造されました純正ブリッジで上がマスタリーブリッジです。
WEBでこの素晴らしい写真を確認していましたが、実物は素晴らしいですね。
肝心の装着写真はサウンドを確認しまして直ぐに次の工程へ移りましたので残っていません。
凄く良くできたブリッジで純正のアンカーへピタッと装着できサウンドも抜群でした。
ネック裏は虎目がびっしりです。
塗装が剥がれている状態なので、写真写りは目立ちません。
全てのリペアが終了次第木目を引き立たせてあげます。
このギターの正体が確認できました。
1965年3月4日の刻印があります。
といいますと復刻版jazzmaster'65の本物modelではありませんか!
貴重な一本をお任せいただきましてありがとうございます。
簡単に外れたように見えますが、ピックガードを外すのがこんなに難解・・・
どこかに隠れビスや接着されている個所があるのでは・・・?
という位苦しめられました。
実は52年経過しましたピックガードが最大で1.5㎝程小さくなっていたからです。
ピックガードの裏はアルミ板で大きさの違いが写真から分かります。
ピックガードが小さくなっているのでPUもポットも各スイッチ部も抜けなくなっていたのでした・・(;^_^A
ご覧のように穴の位置がずれています。
ネック側の黒いノブが引っかかって回せない他、PUの挿入が困難です。
オーナー様へ相談しましたところ13000円程の新品へ交換をご希望されました。
しかしサウンドに影響の無い部品に高価なパーツ交換はお勧めできませんので、承諾を頂きオリジナルピックガードを加工し取り付けとなりました。
ピックガード加工が終了し電装関係の取付になりますが、トグルスイッチやスライドスイッチは不良なので交換です。
ポットは意外にも不良化していませんでしたので、問題なければオリジナルパーツはそのまま使用します。
再度出音確認したのですがフロントPUから音が出ません。
jazzmasterのコールドはザグリ部の銅板で通電しています。
フロントPU下の銅板と下部の銅板のハンダが取れていました。
これでは音が出ません。
再度ハンダしましたが、溶着が良くありませんので、ビンテージワイヤーで全ての銅板を溶着し直しました。
これで大丈夫です。
装着後の写真は抜けてしまいましたが、次はネック関係になります。
音出し確認後なので弦を装着した状態の写真です。
経年の使用と共にすり減ったフレットと指板が確認できます。
ヘッドが渋いです。
指板のチップ、欠けが出ないように慎重にナットを外しました。
長年放置されていましたフレットは腐食が進んでいました。
高さも0.4~0.8mmと場所によってはかなり低く1弦側のチョーキングがきつい状態です。
こちらは高い演奏性を求められないという事で磨き処理のご依頼になりました。
フレット磨きが終了しナット作製です。
1弦側のフレット高さが0.4mmしかありませんでしたので、チョーキングがきついです。
その点を考慮しましてナット作成はアレンジを加えました。
これが試奏を終えたばかりのJAZZMASTERです。
指板面がストレートで凄く鳴りが良いです。
マスタリーブリッジも存在感有りサウンドに影響しているものと思われます。
スイッチやジャックを交換しても極力装着品を使用しオリジナルも残し仕上ました。
これで引き渡しになります・・・。
・・・のはずでしたが、オーナー様より追加のご依頼を頂きました。
★フレット交換です!
ここまでサウンドが向上されているのならとことんやりましょうとのご連絡です。
画像は抜く前の物ですが、ここまで低くなっていると交換も容易ではありません。
精度の良い工具を使用していますが、なかなか引っかからず特に減った3~7フレットは時間を要しました。
フレットはジェスカー2.54mm×1.14を打ちました。
案の定ナットは作り替えになりました。
画像は基本溝を掘り終えた状態です。
指板全体画像になります。
指板が全体に削れていますが、高さに余裕が無いため指板Rのすり合わせは軽くしかできません。
その為エッジ部のRが削れて、更に角度がきつくなっている状態でした。
実はオーナー様より再度フレットエッジ処理のご依頼を受け仕上がりました画像です。
弦高を低く抑えながらも1~3弦のチョーキングが楽になるようナット&サドル調整しました。
指板もレモンオイルでは揮発が早いの特殊オイル仕上です。
ケースから出して撮影すればもっと分かり易かったのですが、ネックのオイル仕上で虎目も渋くなりました。
またまた欲しくなる一本に仕上げりました。
オーナー様のご協力とアドバイスの元素晴らしいギターに変身しました。
ご依頼ありがとうございました。