アンプ内をLEDで光らす派手な個体で有名なケトナーのご依頼を受けました。
こちらは光る仕様ではなく、ビンテージ感のあるSTATESMAN DUAL EL34です。
オーナー曰くコンボをお持ちで、サウンドが気に入っていたためヘッドを中古にて入手とのことです。
ご依頼の症状はブツという音がした後に全く出音しなくなったそうです。
早速FUSEを確認しますと400mAのアノードヒューズが切れていました。恐らくパワー管に何らかの障害が起きたのでしょう。
と言いうことでパワー管と電源回路周辺の点検に入ります。
装着されていましたEL34は外観こそ特に不良化の症状はありませんでしたが、電流値に差が生じていました。
しかし、パワー管を交換すれば復旧すると簡単に考えていましたが、そうはいきませんでした。
結論としては、この電解コンデンサーとパワー管を交換して復旧しました。
しかし測定上では完全な不良では無い為、定数変更をしての完全復活です♪
メーカーでは理論値で設計していますが、経年の劣化を考慮しますともう少し余裕のあるパーツ選定が必要と実感しました。
と言いましても一つ一つ上のランクのパーツを選定すると高額になってしまうので仕方ないのかもしれません。
新規に装着したパワー管はSVETLANAです。
私的にはこのメーカーと、SOVTEKが好みですが、
どちらもロシア製です。
一昨年前は戦争で入手が困難になり、今でもペア管の確保が難しくなっています。
早く戦争を終結させて平和と真空管の安定した入手を願うばかりです。
因みにこのアンプは背面に特殊なコネクターを接続しBIASを測定しなければなりません。
合うコネクターを所持していませんので、アンプ内で測定を試みたのですが、狭くて他に干渉するので危険と判断しました。
因みに春に一度450Vに感電しているので、より慎重に事を進める次第です。「感電するとどんな感じですか❔」と聞かれますが、TVや漫画でよくある「黒服に骨」のイメージです(笑)。
という事でうっかりミスの話は置いといて、コネクター作成しました。
東京都内なら秋葉原で簡単に手に入るので羨ましいです。
因みに[marshall] [Bogner] [RIVERA]等それぞれ互換性のないコネクターが使用されているので、作成したコネクターは結構増えました。
ワニ口クリップで簡単にテスター測定できることを望みますが、それぞれの製作者の意図があるのでしょう。
こちらのアンプは25mv~31mVの調整範囲が可能なパワー管を使用とのメーカー仕様規定があります。
中間をとって28mvに調整しました。凄くマッチングしている良い管です。
因みに他のEL34も含め10組程測定しましたが、左右で5mv以上数値がずれているとフツフツノイズが発生する個体もありました。
トランジスタもそうですがマッチングの重要性は必須です。
最後になりますが、お気に入りのアンプを末永く使いたければ、定期的な診断と余裕の持ったパーツ交換は改めて重要と感じました。